2024年2月ー「おとぎ話ソナタ ハ短調 Op.25-1」Marchen Sonata Op. 25 No.1;Sonata skazka c-moll Op.25-1

Op. 25 No. 2の夜の風(Night Wind)とは異なるこの3楽章からなるスカヅカです。(「スカズカ」とはロシア語で「童話」という意味)Op. 25 No. 1は、1910年から1911年に彼が作曲したものです。 このソナタは親友であったラフマニノフが演奏した唯一のソナタといわれています。

こちらは、以下の3楽章から成り立っています。

第1楽章 Allegro abbandonamente:イタリア語で「熱狂的に、情熱的に」という意味です。テンポは速く、情熱的で熱狂的な演奏になります。

第2楽章 Andantino con moto:イタリア語で「やや遅く、しかし動きのある」という意味です。テンポは遅めですが、動きのある演奏になります。

第3楽章 Allegro con spirito:イタリア語で「明るく、元気に」という意味です。テンポは速く、明るく元気な演奏になります。

 

第1楽章は、物語の導入部という感じで、とても切なく悲しげなメロディーが聞えてきます。

第2楽章は、穏やかでゆっくりとしたテンポながら、ドラマティックな物語の展開部を表情豊かに語っています。心動かされるメロディーは、文学的な表現を超えた音楽の魅力を私たちにもたらします。

第2楽章と連結している第3楽章目は、曲が進行していく中で、メロディーそのものが口伝えの読み聞かせのようにスカヅカを語ります。魅惑的な転調が、この童話の中で何か不思議なことが起こっているように感じさせます。後半の曲の最終部で第1楽章のメロディーに戻り最終部を迎えます。

メトネルの作品の中では、”Marchen” =「メルヘン」が多く題材としてありますが、特定の物語を参考にした作品はあったのでしょうか? 彼自身が、文学や詩を愛する家庭に生まれ、彼の中の音楽性とそれが融合し、このような数々のスカヅカを生み出したのだと思われます。それは、両親の影響を多大に受けていたと思われます。メトネルの父のカール・ペトロヴィッチ・メトナーは、文学的なことを好み、読書家で若い頃から詩と哲学に傾倒していました。母のアレクサンドラ・カルロヴナ・ゲーディッケは一方、音楽的でありました。ピアノを弾き、歌も歌っていました。

ウィキペディアによると、ロシアのスカヅカには様々な種類があるようです。volshebnaya skazkaは、魔法の(不思議な)童話、Skazki o zhivotnykhは、動物の童話、 bytovye skazkiは、家庭生活における童話などです。グリムやアンデルセンで知られている童話の世界ですが、ロシアの童話や民話は最初19世紀に学者達により収集され、系統的に研究され多様です。ロシアのおとぎ話や民話は、アレクサンドル・アファナシエフが1850年に出版した『Narodnye russkie skazki』で目録化(編集、グループ分け、番号付け、出版)され、そのプロット(構想)は、民俗学の研究者たちにより番号を引用し、彼の収集した文書を参照しています。

文学は、物語の中の道徳的レッスンから学ぶためのロシアの子供たちの教育の中で重要な要素として考えられていました。18世紀のロマン主義時代には、アレクサンドル・プーシキンやピョートル・エルショフといった詩人たちが、ロシアの民俗精神を物語で定義し始めました。

ロシアのおとぎ話は非常に人気があり、今日でも芸術作品のインスピレーションに使われています。「眠れる森の美女」は現在もニューヨークのアメリカン・バレエ・シアターや世界中のバレエ団により、今でも上演されているが、そのルーツは1890年に創作されたロシアの童話にあります。この舞台のアーティスト・イン・レジデンスであるラトマンスキー氏は、ロシアの背景からこの舞台の振付のインスピレーションを得ています。

さて、このおとぎ話ソナタ ハ短調 Op.25-1、あなたにはどのようなスカヅカに響きますか?

 

ソナタイタリア語sonataソナータ))はクラシック音楽における器楽曲室内楽曲の形式の一つ。多くは複数楽章から構成される。「ソナータ(イタリア語sonata)」は、「鳴り響く」という意味の「ソナーレ(イタリア語sonare)」に由来する語で「演奏されるもの」の意味である。